
『ストラップホール』
日程:
2021年 5月31日(月)~6月6日(日)
時間:
10:00-18:00
場所:
武蔵野美術大学鷹の台キャンパス2号館3階301
展示者:
石﨑朝子 / Asako Ishizaki
小林このみ / Konomi Kobayashi
[メインビジュアル]
小林このみ/ Konomi Kobayashi
[企画]
石﨑朝子 / Asako Ishizaki
ストラップホール
お茶犬を集めているという話を小林このみから聞いた。 耳がお茶の葉っぱになっているお茶をモチーフにした犬のキャラクターで、十数年前にお茶のペット ボトルにおまけとしてついてきた記憶がある。 そういった小さなおもちゃには、必ずひもがついていて、お気に入りを持ち歩くべく、それらをつけ るための最適な場所を見つけることをしていたように思える。(大抵は、カバンやポーチのファスナー 部分)
思えば、今で言う” ガラケー” と呼ばれた携帯電話の時代。 当時の女子高生のお姉さんは、キティちゃんやしっぽみたいなもふもふとしたストラップをスワロフ スキー風のシールでギラギラのケータイ(いわゆる” デコ電” というやつ)に、じゃらじゃらとつけ ていた。 制服のポケットから出された大量のストラップたちはもはやどちらが本体なのかわからないくらい で、むしろケータイがストラップをつけるための” ストラップホール” そのものなのではないかと思う。 ストラップとストラップをつけられるものの関係性。 そういったことを考えてみたいと思った。
スケートボードやキャスター、折りたたみ式のアイロン台など「移動 / 持ち運び」のためにリサイズ されたアイテムをモチーフに制作する小林の作品に、ストラップホールの関係性を当てはめたとき、 彼女の制作における” 作品” と” 作品でないもの” のわからなさがリンクしてくるように思えてきた。 一方で、自身(石﨑)は「移動」によって発見した、ストリートのリアリティから出発して風景の新 たな見立て=「風景のリサイズ」を行っている。 そこで、本展示ではストラップホールという言葉を独自に導入し、互いに共通する「移動」や「リサ イズ」という行為を基点にした作品を展開する。 ここにあるものをストラップホールに通して、持ち歩くことができたなら。
文:石﨑 朝子